新宿鮫Ⅹ「絆回廊」を読む
大沢在昌さんの新宿鮫シリーズ最新刊(10)「絆回廊」(光文社)を読みました。
シリーズ5年ぶりという久しぶりの長編。「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載するという新形態でも話題になったようですが、まあ、安定した内容で、面白く読めました。
「新宿鮫」こと新宿署の鮫島警部が造形されたのが1990年。それから20年以上という長期にわたるシリーズですから、作者にはいろいろと苦労があるのだろうなあと思います。物語の内容そのものは別にして、やはりその辺りが気になりました(笑)
(以下、若干内容に触れますので、未読の方はご注意ください)
手元に実物がないのですが、ウイキペディアによると、第一作(1990年)時の鮫島の年齢は36歳、恋人の青木晶は14歳下の22歳のようです。↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%AE%BF%E9%AE%AB%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
新宿鮫シリーズは、同時代の時代風俗や犯罪傾向などを巧みに取り入れているのが魅力の1つですから、描かれているのは常に「現代」です。
今回の「絆回廊」もガールズバーが出てきたりして、作者の「取材」成果(?)が生かされているなあと(笑)思います。また、明示的に時代を表している箇所もあり(暴力団須動会が解散したのが平成8年。それから14年後の話)、描かれているのは平成22年、つまり昨年2010年のことです。
さて、ここが問題です。もし、第一作の舞台設定が発表時の1990年だったとしたら、何と! 鮫島の年齢は56歳!晶は42歳!になっているのですねえ。
42歳の晶のイメージをつかむため(笑)、ざっと1968年生まれの芸能人を検索してみたところ(何をしとるねん)、chara。ふむ、ちょっとやせすぎかな?
飯島直子。なるほど。杉本彩。ちょっとエロすぎ? 演歌ですが長山洋子。ちなみに勝間和代さんも同い年でした(笑)
というわけで、今回の「絆回廊」、晶さんがあまり登場しないのは(鮫島とは電話だけで、結局会わずじまい)そんな年齢の都合もあるのかなあと勝手におもったり。
決定的な矛盾は桃井課長の年齢。先のウィキペディアによると、第1作では52歳だったそうですが、今回ははっきり年齢が出ていて58歳。なんと!20年間で6歳しか年を取っていない!
とまあ、揚げ足取りのようなことを書いているわけですが、やはり長期の人気シリーズはつらいですねえ。鮫島の外見などの描写もどんどんなくなっているし、もちろん晶も。読者が勝手に抱いているイメージを壊さないようにするため、苦労されているんだなあと思います。
作者は糸井重里さんとの対談で「今回はけりをつけなくてはいけないことがある」との趣旨の発言をしておられて、↓ これが晶との件なのか(私はこちらと推測)、桃井課長の矛盾の解消なのか、どちらとも取れるような気もします。
今回の「絆回廊」の終わり方は、次もあるような感じでしたので、今回で終わってしまわないとは思います。ただ、4年以上たってしまうと、鮫島は60歳で定年退職になるので、どうするのでしょうか。ある時点で時を止めると、同時代性の魅力がなくなるし。ほんとうに大変だろうなあと思いながら、次作を楽しみに待つことにしましょう。


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